私の心の支え

雨の日

 

 

 

 

夕方から雲行きが怪しくなってきた

 

 

 

あ、傘忘れた……雨降る前に帰んなきゃ

 

 

いつもは夕日で染められてる帰り道が

 

今日はどんより雲と冷たい風で染められてる

 

ゴロゴロ……

 

えっまって雷……?

 

そう思った瞬間にピカッピカッと

 

遠くで光ってるのが見えた

 

帰る足が早くなる

 

ごろごろと音が近づいてきて、

 

変な汗が背中を落ちていく

 

今日は翔太が遅い日

 

家に着いても真っ暗で、部屋の中を

 

嫌いな雷の光が照らす

 

今日は遅いと知ってるのに

 

「ちょっと早く帰って来れる?」

 

これだけのLINEに瞬時に既読がついた

 

「できるだけ早く帰る待ってろ大丈夫だから」

 

何も言ってないのに分かってる

 

できる彼氏じゃん、

 

そう思った瞬間にピカッと光る

 

子供の頃のトラウマで大人になっても

 

大嫌いな雷

 

それを知ってる翔太

 

唯一翔太だけが馬鹿にしてこなくて

 

いつも隣にいてくれた

 

気づけばずっと隣には翔太がいる

 

でも、

 

今日は仕事で遅くなるから

 

今日くらいは耐えなきゃ

 

大人なんだから

 

いつまでも翔太に頼るわけには……

 

ピカッゴロゴロ……

 

む、むり……

 

部屋の端で布団を被って耳を塞いでひたすら耐える。

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

なぁ!タオル!

 

玄関の方から聞こえた声

 

えっ!?翔太!?早くない!?

 

なぁ!いいからタオルちょうだい!

めちゃくちゃ濡れた!タオル!

 

あ、あ、うん、待って

 

バスタオルを掴んで声のする方に走っていく

 

そこには待ってた大好きな人の姿

 

 

濡れた頭を鬱陶しそうに振りながら立ってる

 

 

 

雨で濡れた翔太の頭を無造作に拭いていると

 

よかった…今日は泣いてない、頑張ったな(笑)

 

へっ……?

 

こんな日に限って雷なるんだから、

めちゃくちゃ焦ったわ(笑)

仕事どころじゃなかったから早めに上がった

 

バスタオルの中からそう発する声が優しすぎて

 

その言葉で泣きそうになった

 

バスタオルの上から翔太の頭を抱きしめた

 

ちょっお前、俺濡れてるからやめろって

 

いい!いいの!

 

なに、俺が帰ってきて安心したの?

かわいいじゃん(笑)

 

うるさいな〜(笑)

 

 

こんなこと言ってると雷がなってる事を忘れてた

 

ありがとう、翔太

 

なっ、なんだよ急に(笑)いつもの事じゃん(笑)

 

 

そう言って照れながら私を軽々と抱き抱えて

 

リビングへ、そのままソファに倒れこむ

 

な、なに?(笑)

 

濡れた髪の毛の間から見える目はとても愛しいものを見るようで優しかった

 

俺がいないとほんとダメだな(笑)

 

ふっと空気の抜けるような笑い方をして

 

私にそっと唇を重ねてくる

 

どうしたの?

 

いつもと違う翔太にちょっと戸惑ってると

 

そんな顔するなよ、怖い?

 

悲しそうな顔で私に問いかけてくる

 

ううん、怖くないよ、怖くないけど今日の翔太ちょっと変

 

変?そう?いつも通りだけど

 

なんか悲しそう……

 

そう言ってそっと翔太の頬に手を伸ばすと

 

私の手を持って自分の顔にくっつける翔太

 

雷の音聞くとさ、お前のことばっかり考えてるけどお前はどうなのかなって思ってさ……

 

私も翔太のこと心の中でいっぱい呼んでる。

迷惑かけちゃいけないって分かってるけど、今日みたいにすぐLINEしちゃう……ごめんね?

 

なんで謝んだよ、いつでも連絡してこいよすぐ行くから。な?

 

ありがとう……翔太……

 

ん?なに?

 

翔太が思ってるよりも私、翔太のこと大好きだよ……ふふ気持ち悪いね(笑)

 

ふはは、ありがとう俺も。

 

 

さっきの悲しい顔とは違って

 

嬉しそうな幸せそうな顔

 

大好きな人の幸せそうな顔が世界一好き

 

そんなこと思ってたら

 

また唇を重ねてくる

 

いい?

 

その問いかけは長い夜の始まりの合図

 

いいよ

 

承諾した途端に息継ぎをさせてくれないキスが襲ってくる

 

この時を待ってたかのようにお互い求め合う

 

 

もっと……もっと……もっと翔太が欲しい

 

そう思って、

 

翔太、、、すきだよ、、

 

そんなことを漏らせば

 

お前知らねぇからな覚悟しろよ

 

こんなに強気なこと言ってるのに

 

首筋を伝うキスや

 

体を触れる手は

 

とっても優しくて

 

いつもより感じてる

 

怖さをいつも忘れさせてくれる翔太

 

この人のおかげで今日も幸せに生きていられる